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おススメの漫画・本・ゲームもろもろの紹介をします。

「ボイスラ!!」1巻(OCTO著 講談社)

※ネタバレ注意

 

(本日紹介する漫画)

「ボイスラ!!」1巻(OCTO著 講談社

 

(作品紹介)

妹の美大学資を稼ぐため、一攫千金(1,000万円)を夢見て、友人の豊満が勝手に応募した声優養成所の入所オーディションを受ける事になり…

 

(感想)

風貌と声量と見た目で周囲に誤解されているヤンキー高校生が、今まで興味もなかった「声優」という世界に足を踏み入れる、お仕事漫画であります。

管理人も昔見たテレビ番組で、プロの「声優」がオーディションに受かって仕事を勝ち取らないと生活できない、本当に大変だという世界だというのは知ってはいましたが、それ以外は「声優」という仕事についての知識は完全にズブの素人なので、話の随所に入る豊満君のデータベースはたいへん参考になります。

現在大人気のお仕事「声優」ですが、まずプロの「声優」と言われるまでに受けなければならない行程の多さに脱帽しました。

 

それだってプロになって売れるかどうか、続けられるかどうかはまた別問題ですから。

 

「容姿や人気で仕事の有無が決まる世界で真の平等なんかない」

「そもそも本当に「実力があるかないか」誰も数値化して正確に判断出来ない」

 

ズブの素人であるにも関わらず大抜擢された主人公灯士郎に対し、不満の声が養成所のメンバーから出た時の講師の台詞は、人気稼業に限らず世の中に出たら世の全ての人間はちょっとは頭に刻んだ方が良い台詞な気がしました。

 

「地図にない場所」1巻(安藤ゆき著 小学館)

※ネタバレ注意

 

(本日紹介する漫画)

「地図にない場所」1巻(安藤ゆき著 小学館

町田くんの世界」、「透明人間の恋」などで知られる安藤ゆき先生の最新刊。

待ってました!!

 

(作品紹介)

家でも学校でも居場所がなく、齢13歳にして「人生終わった」と絶望する主人公土屋悠人。隣人で世界的バレリーナ宮本琥珀がケガによる引退、そして唯一の肉親である母親を失ったことで、「俺より終わってそう」と興味本位で彼女が一人住む、隣の家に回覧板を持って訪問し、3年振りに宮本琥珀と再会するが…

 

(感想)

待ってましたの、安藤ゆき先生の最新刊。

ネットで連載されていたのを知ったのも実はつい最近で、1巻が発売されると知って狂喜乱舞。

町田くんの世界」を期待されると、主人公悠人の性格の悪さ(まあ、世間的に見て普通)にビックリするかもしれません。町田一はマジで愛され系イイ男だったから。「俺よりオワコンな人を見たい」といってそのまま見に行ってしまう程にはイイ性格をしている悠人が再会した元バレリーナ宮本琥珀が、「アンタ誰!?」という程別人になっていて、悠人も読者も混乱します。3年前のあのツーンとすましたロングヘア美女が、おかっぱ頭の天然人間に変身。しかも愛想がめっちゃ良くなってるし!!

で、愛想が激上がりした天然人間琥珀さんと主人公悠人との物語が、この「地図にない場所」という作品になります。

精神的な意味で寄る辺ない二人を象徴してこのタイトルになったのかなーと管理人勝手に予想していましたが、主人公達が住む地域での都市伝説である地図に無い場所「何処」(いずこ)を探そうという流れになりますので(勿論天然人間琥珀さんの提案だ)、「地図に無い場所」は、この物語の目的でもあります。

タイトル、そういう意味があったんだー。

 

天然人間と書きましたが琥珀さん、流石にトップバレリーナだけあって、時々ドキっとするような鋭い台詞を言います。

 

「才能以上のことしてたの。バレエと引き換えに。何もかも全部捨ててやっただけ。」

「全部のエネルギーをバレエに充てたの。」

「トップだから、大きなモチベーションを失って通用するほど甘くないんだよ。」

特に最後に紹介した台詞はシビレます。

何もかも捨ててやったら世界的バレリーナに全員なれるわけではないので、正直彼女は努力だけの人ではないでしょう。

何かに情熱を傾けて、そしてそれが報われること自体、正直稀に見る僥倖です。

恵まれています。

上手くいくにせよ失敗するにせよ、何かに情熱と時間と魂を傾け、その為にその他の全てを切り捨てて、しかしその「何か」がある日突然終わりを告げた時。

 

失敗を垣間見た(まだ13歳、失敗と言えるのか?)悠人と、バレエへのモチベーションを失った琥珀の二人が「地図にない場所」に何を見出すのか。

続きが楽しみな漫画です。

「天帝少年 中村朝短編集」(中村朝著 KADOKAWA)

※ネタバレ注意

 

(本日紹介する漫画)

「天帝少年 中村朝短編集」(中村朝著 KADOKAWA)

 

(作品紹介)

漫画家中村朝氏による6つの短編集。

 

(感想)

完全ホラーサスペンスの「白件」

大どんでん返しの「きみが小説家をみつけたら」

中国の化け物饕餮(トウテツ)の息子の物語「トウテツの子」

世界と主人公は、実は…というファンタジー表題作「天帝少年」

味覚が無い男性三弦の料理にまつわる物語「三弦巻き」

管理人の一番お気に入り「流行り神プロトコル

以上6作品が収録されています。

 

流行り神プロトコル」は、ある日、フローリングの部屋に住むテレビ好きの座敷童の元に一人の少年志村阿智が転がり込んでくる短編物語です。

オチを知ってしまうと全く面白くなくなりますので、これ以上の説明は極力省きますが、志村阿智少年と入居者の「しあわせ」をひたすら願う座敷童との心の交流と愛に涙。

何度読んでも涙。これを書くために再度見返してやっぱり涙。

この物語の全てが最初からきちんと計算されているので、全ての出来事にちゃんと意味があります。なので、最低1回は読みなおすこと、つまり2回読むことを管理人は推奨します。

それだけでなく、本編のオチとは関係ない阿智少年と座敷童の幸せ問答もいいです。学資保険のCM(テレビより学習)を見て幸せが何かを学んだ座敷童に「それは幸せじゃなくて極力不幸を回避した人生だろ」の阿智少年の切り返しがステキです。

この幸せ問答については表題作の「天帝少年」にも出てきますが、

進学→安定した職業(例:公務員)→結婚→出産→定年退職→老後の一本道を「クリア」しないとダメ人間扱いされるという事については、管理人激しく同意。

それこそ、極力不幸を回避した人生=幸せかどうかなんて、実は誰にも分からないんですけどねー。人や環境は生きている限り目まぐるしく変わるので、その時の選択が最善とも限らないし、例えその都度極力回避したって実際不幸を回避しきれるかどうかは正しく神のみぞ知る、ですから。

あと、座敷童のキャラクターが純粋にカワイイです。

 

他に収録されている「栄養があってきれいな食べ物」である「三弦巻き」は、実際食べたら味がすごい事になりそうですが、作品のアイディアや考え方が秀逸なので、こちらの作品もおススメです。

 

この中でも一つでも気になる作品があれば、是非読んでみて下さい。

もう一度言いますが、「流行り神プロトコル」がおススメです。

「エンド・オブ・ライフ」(佐々涼子著 集英社インターナショナル)

※ネタバレ注意

 

(本日紹介するノンフィクション)

「エンド・オブ・ライフ」(佐々涼子著 集英社インターナショナル

 

(作品紹介)

著者佐々涼子氏による「在宅医療」について取材をし、そこで出会った人々の魂の記録を描いた、号泣必至の渾身の一冊。

 

(感想)

一読するにあたってティッシュはボックスで、ハンカチでなくちゃんと肌触りの良いタオル(ごわごわしていると、肌と瞼が傷つく)をご用意ください。

「在宅医療」をテーマに、このノンフィクションの縦軸に筆者の友人でもある訪問看護師森山文則氏について、横軸にその他に取材等で筆者が関わった「在宅医療」関係者達の話(筆者自身の母親の話も含む)について進められています。

本作では終末期の在宅医療がメインになっているので、どうしても人の「死」についてダイレクトに取り扱った例が多いですし、それについての感動的な事例はここで紹介するより実際に読んで貰いたいですが、この本の中で忘れてはいけない事は、在宅で最期まで過ごすことが難しいケースもきちんと取り扱われているところです。

むしろ、現実問題としては、こういうケースが多いんじゃないでしょうか。

身体の自由がきかなくなったり、認知症になったり、家族での介護が限界をとうに超えていたり。

家で最期まで暮らすことや、家族の誰かがつきっきりで介護することが、必ずしも最良かつ最善と取り扱っていない事は、管理人好感が持てました。

でないと、同居家族が介護することについての課題が置いてけぼりにされてしまいます。

その点について描かれたものは、以前紹介した漫画の「ひとりでしにたい」がおススメです。

 

この本では名言が多いですが、

「生きたようにしか、最期を迎えられない」

「死は遺された者へ幸福に生きるためのヒントを与える」

特に「死は遺された者へ~」の実例ともいえる話は、この本の終盤に用意されていてとてもいい話だったので、号泣と号泣の合間の一服の清涼剤として楽しんでいただけたら何よりです。

 

人生100年時代となった現代、人の死を扱うとからと目を背けるのではなく、成人するなら一度はちゃんと向かい合うべき問題なんで、人生の教科書として大人は読んで損ナシです。

だって人は、生きたように死ぬのだから。

「最果てから徒歩5分」(糸井のぞ著 新潮社)

 ※ネタバレ注意

 

(本日紹介する漫画)

「最果てから徒歩5分」(糸井のぞ著 新潮社)

 

(作品紹介)

自殺の名所「死出ノ岬」(本当の名は志手ノ岬)から徒歩5分にあるオーベルジュ(宿泊設備を備えたレストラン)・ギルダ。幸田すももが「ある出来事」をきっかけに「死出ノ岬」にやって来たことで、物語が始まるー。

 

(感想)

本作を読んでいてどこかで見たことがある絵だなあと思ってググったら、父娘の不器用な交流を描いた「真昼のポルボロン」の作者であることを知りました。本作でも第3話が、ちょっと「真昼のポルボロン」を彷彿とさせました。

 

閑話休題

 

自殺の名所とスマホで取り扱われるようになってから、そういう人がやたら訪ねて来るようになってしまい、主人公幸田すももに限らず、人生に疲れてしまってしまった人々がオーベルジュ・ギルダに集います(一番近い宿屋兼料理店だから)。

その人生に疲れたという理由というのが、

パワハラ

・不倫による降板

・自己嫌悪(生きるのが嫌になる程のすさんだ生活)

・失恋

・離婚

・逃げたくなるほどの辛い出来事

という、もう本当に分かりみしかないような内容が並びます。

本作品の凄いところは、流石にデリケートな問題を扱うだけあって、

オーベルジュ・ギルダの人々の取る行動や、マネージャーの夕雨子さんの台詞が非常に具体的かつ的を得ている事。

ストーリー漫画としても読めるけれど、これ思い悩んでいる人たちへの「漫画セラピー」として十分いけるなと思いました。

いかにもその問題対策といったパンフレットでは「自分はそんな大ごとにいる状態じゃない!」と敬遠されるようなことでも見た感じあんまり関係なさそうな普通の「ストーリー漫画」として読むなら、敷居が低く、多くの人がスッと読んで貰えそうな気がします。

今誰にも言えずに思い詰めている人は読んでみて下さい。

ハウツーとしては、これ使えますよ。

「死ぬこと以外の選択肢を見つけることができたんじゃないかしら」

思い詰めた時は、この夕雨子さんの台詞を忘れないでください。

勿論、夕雨子さんの過去、幸田すももの「出来事」についてのオチ等、物語自体の謎も多くありますので、純粋にストーリーとしても楽しめます。

 

ミステリと言う勿れ情報(令和2年11月27日)

こんばんは。

hanairoribonです。

前回の感想や、ネット情報で既にご存知の方も多いでしょうが、このブログに「ミステリと言う勿れ」の情報を求めて来られた方にお知らせでっす。

月刊フラワーズ1月号では「ミステリと言う勿れ」はお休みになっています。

次の登場は、12月28日発売予定の2月号です。

表紙と巻頭カラーという豪華ぶりです。お見逃しなく。

「BADON」3巻(オノ・ナツメ著 スクエアエニックス)

※ネタバレ注意

 

(本日紹介する漫画)

「BADON」3巻(オノ・ナツメ著 スクエアエニックス

11月25日発売の最新刊。表紙はメガネが似合う色男のリコだ!

 

(3巻感想)

「BADON」は表紙になるキャラが中心人物として活躍するので、3巻はリコが中心に動くかなーと読む前から予想していました。

確かに予想に違わず「プリミエラ」の4人の中ではリコが中心人物です。

ですが、一番最後に一番おいしいところを、アレンに持っていかれた!!

悔しい(?)ですが管理人にとっての3巻の一番の見どころは、リコと学生時代の友人との友情ではなく、アレン。とくに3巻終盤の夜の雪のシーン!!

夜中の大雪

苦い再会の後の邂逅

同じものを語り合う友情

メチャクチャいい!!

ムショ帰りの男たちを待つキナ臭い事件を描いた1巻も、

エルモの魅力全開の、殺人事件を取り扱った2巻も良かったけれど、

残酷な時の流れと、その後にある「友情」を取り扱った3巻も1、2巻と同じ、いやそれ以上にイイです。

というか主要登場人物は1巻から全く同じなのに、世界観をここまでガラリと変えて描くオノ・ナツメ先生の手腕に脱帽。

 

4人の中では一番のワルじゃないかと思っていたリコは、学はあるけれど(実際30代半ばまで大学生をやっていた)、詐欺師というよりもモラトリアム期間が人よりずいぶん長引いちゃったヒモ、といった印象で、管理人の予想していた以上にふわふわと生きてきた人という事が分かってビックリです。管理人の独断と偏見で、リコは過去にもっといろいろ知能的な犯罪や、人の生き死にに関わる犯罪をしていたと予想していたので。

 

エルモ、リコと続いて4巻はラズなのか、紅一点のリリーが中心人物になるのか。

続きがとても楽しみですが、4巻発売予定が来年の夏というのは、ちょっと、いやかなり遅い気がします。

 

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