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おススメの漫画・本・ゲームもろもろの紹介をします。

「マロニエ王国の七人の騎士」1巻(岩本ナオ著 フラワーコミックスα)

※ネタバレ注意

 

(本日紹介する漫画)

マロニエ王国の七人の騎士」1巻(岩本ナオ著 フラワーコミックスα)

このマンガがすごい!2018オンナ編第1位に輝いた作品。

現在連載中。月刊フラワーズ12月号の表紙と巻頭はマロニエ王国の七人の騎士ですよ!

 

(どんなストーリー?)

八つの国からなる大陸の中央の国、マロニエ王国。

女将軍バリバラの七人の息子が、マロニエ王国と近隣諸国との友好のため、周辺の7つの国に、一人ずつ大使として(名目は騎士長)向かうというもの。

ちなみに既刊3巻プラス連載分を読んでも、話が最終的にどう転ぶかはまだ読めません。

 

(1巻ネタバレ感想)

さ、先が読めねえ…。

1巻は、1・2話ではマロニエ王国の王女と四男寒がりとの交流が中心になります。王女は名前と性別を偽っているのに、寒がりはうっかり王女に惚れてしまいます。

これは、王女と騎士のロマンスか!?と思いきや、3話以降で一気に話が長男眠くないとその幼馴染兼婚約者となったエレオノーラ(通称エリー)に移り(場面展開早っ!)、眠くないとエリーと大貴族の息子ヨアンが、当初の予定通り友好の為に夜の長い国に向かいます。

内容としては、かなり大ざっぱですがこれで大体説明がつきます。

 

何やら王女はお見合いを意図をもって妨害されていたり、夜の長い国では何やら陰謀めいたものを感じたりと、いろいろ謎が謎を呼んだまま話が進み、そのまま1巻は終わります。

おそらく今後話のキーパーソンとなるであろう、今は亡きバリバラの夫、ペレグリナスがちらっと出たり。

あんまりちらっとだったので、1巻を読んだ時は、何だこの人?とあまり気に留めませんでした。ちなみに、1巻で病床のペレグリナスがエリーにクルっと一回転をお願いした理由の伏線は、3巻にならないと判明しません。

 

意味が分からないなりに、長男眠くないの婚約者エリーに対する大胆な発言で、胸キュンしたりもしますので、マロニエ王国と登場人物を理解するためにも、まずは1巻からどうぞ。

 

「僕のジョバンニ」5巻(穂積著 フラワーコミックスα)

 ※ネタバレ注意

これまでの紹介

「僕のジョバンニ」1巻

「僕のジョバンニ」2巻

「僕のジョバンニ」3巻

「僕のジョバンニ」4巻

 

(本日紹介する漫画)

 「僕のジョバンニ」5巻(穂積著 フラワーコミックスα)

今年の9月に発売されたばかりの最新刊。

この続きはむしろ私が知りたい。

 

(5巻ネタばれ感想)

哲郎兄ちゃんのまさかの裏切り!!

そんな予感は前からありましたが、鉄雄の兄哲郎が郁未のメンタルトレーナーにジョブチェンジしました!

海から来たリヴァイアサン(=郁未)陣営に入ってしまう兄哲郎に対し、鉄雄は二人で住んでいた家を出ます。

 

まあ、出ざるを得ないわな。

だって兄哲郎は、鉄雄が郁未に対してどう思っていたのか、一番間近で見て知っていたのに、それでも郁未陣営に入るって言うんだから。

 

そして鉄雄は師匠蘇我百合子の元に再び身を寄せることになります(他に東京で行く当てもないし)。

兄弟にコンプレックスを抱く御手洗君は兄哲郎の行動に怒り、縁は哲郎に対し悪いことはしていないと理解をしつつも、鉄雄と共に最後まで走ることを表明。

ここにラブ要素が入んないところがかえっていい。

鉄雄のもとから兄哲郎が去りつつも、鉄雄には師匠蘇我百合子、御手洗君、そして縁と、彼と彼の音楽を慕う人々の輪が常にあります。

これこそが、手塚鉄雄の音楽・人生のスタイルであり、彼自身の魅力でもあります。

まだ、鉄雄自身気が付いている様子はないですが。

 

話は戻って、再び哲郎兄ちゃんと鉄雄ですが、この巻で哲郎は彼にとっての“天才”とは弟の鉄雄だと言います。

鉄雄が郁未に対して“天才”と思うのと同じように、哲郎は鉄雄に対して“天才”だと信じている。

…だから郁未陣営に入ったのか(敵の敵は味方っていう…)。

本当に一番のファンなら、メンタルトレーナーとしても兄としても傍にいてやれよ、とは思います。そのための良いポジションに元々いるのに。

あくまでも管理人個人の意見ですが、今回の出来事の背景には仕事として、ということも当然あるでしょうが、鉄雄が郁未に対してその溢れんばかりの才能に嫉妬するように、哲郎も鉄雄に対して本人が想像する以上に屈折した深い嫉妬があるような気がしてなりません。

 

いよいよ鉄雄・郁未・そして皆川優が出るコンサートが始まりましたが(勿論、御手洗君も出るよ!)、その結果がどうなるかは次巻のお楽しみということになります。

そもそも次の巻で決着がつくのかどうなのかも分かりませんが…。

御手洗君にも是非頑張って欲しいものです。

(最終的にはバイオリンに戻るのかな~。彼、実はバイオリンの方が巧いらしいし)

 

 

「僕のジョバンニ」4巻(穂積著 フラワーコミックスα)

※ネタバレ注意

これまでの紹介

「僕のジョバンニ」1巻

「僕のジョバンニ」2巻

「僕のジョバンニ」3巻

 

(本日紹介する漫画)

「僕のジョバンニ」4巻(穂積著 フラワーコミックスα)

 

(4巻ネタばれ感想)

「磯野~野球しようぜ~」

じゃなかった、「鉄雄、ライブしようぜ」で終わった3巻。

鉄雄と蘇我百合子との師弟愛について語りまくっていたので、載せてなかったですが鉄雄の「うぬぼれ」を何とか作ろうぜということで縁ちゃん、ニセ弟子だった御手洗君を呼びつけて3人でソルティドッグ(しょっぱい負け犬)ライブを決行。

これがバンドものの漫画だと、ライブをやろうぜと主人公が思ってから実際ライブをやるまでの道のりが長いですが、「僕のジョバンニ」はインフラが既にある程度整っており、さっくりライブを決行します。4巻でライブが始まって終わります。

展開早っ!

さすが、2巻で5年後まで一瞬でワープした作品だけあります。

4巻の一番の見どころは、やはりライブで起きた喧嘩でしょう。

ライブ超キモチいいと演奏していた鉄雄に対し、コップを割って演奏を止める者が。

中途半端な音楽で目障りだと怒り散らす客に、それを止める客。その客同士が揉めあって、喧嘩が始まり、もうライブどころではなくなります。御手洗君なんかビビッてます。これを見ると、彼らってまだ高校生なんだなあと妙に感心したり。酒の入った大人の喧嘩は怖いよな。純粋に。

楽家の道を諦めて、だけど未練たらしく未来ある高校生のライブにケチをつけている位なら、辞めなきゃよかったんだという言葉に対し、マスターの回答が痺れます。

「僕は辞めることは必ずしもネガティブなことだとは思いませんよ」

「人は生活に密着したものを辞める時、勇気がいります」

「容易ではありません」

「それが習慣であったり 夢だったり 仕事だったり 人によって様々ですけど」

「それでも手放すことでどうしても嫌な気持ちが残るならこう思えばいい」

「それを辞めなければあなたは死んでいた」

 

それを辞めなければあなたは死んでいた、とまで言い切るマスターの潔さ・強さがカッコイイ。

台詞続きます。

「生きていくというのは大変なことでしょう」

「人生は残酷だ」

「肉体を削る」

「精神を削る」

「生命力を燃やさなければならない瞬間が幾度も訪れる」

「それを辞めなければ今頃 あなたの命はなかったのかもしれない」

「あなたは身も心も守る努力をしたんです」

「それは素晴らしいことです」

「ドラマなんかいらない」

「命のほうが大事だ」

 

泣かせるよ、マスター!!!(泣)

人生のテストに出ますよ~、これ。心のアンダーラインを引いてください。

漫画の凄いところは、わずかな言葉・絵・余白で人生を語ってしまうところ。

この話は、雑誌で追いかけて読んでいた時から大好きな台詞です。

 

海から来たリヴァイアサンこと郁未と対峙を決めた鉄雄。強大な才能を前に立ちはだかろうとするその鉄雄の心意気を蘇我百合子は面白いと評し、彼を弟子に取りました。

だけど、その道は成功を必ずしも意味するわけではありません。それと同じようにどうあがいても力の差を埋められずに、諦める可能性も同時に孕んでいます。

自分の無力さに打ちのめされ、辞めること逃げることは必ずしも悪いことではないというマスターの言葉に、鉄雄自身も兄哲郎の姿を重ねながら己の傲慢さを反省し、また一つ、“自分にとっての正しさ”を学びます(これ大事。他人をからめない・押し付けない、あくまで自分にとっての正しさ)。

鉄雄のような若い才気あふれた人間が主人公ではありますが、「努力・勝利」の裏側もちゃんと描かれているところに好感が持てます。

 

むしろ汚れちまった大人は、マスターの言葉に激しく同意であったりします。

 

ライブも無事終了し、今度は哲郎兄ちゃんに急展開と、郁未のヤンデレぶりを堪能しつつ、5巻へ話は移ります。

新キャラ、皆川優はどうかって!?

イケメンだけど、御手洗君とはまた別の意味で雑魚キャラぽい気がするなあ。

(御手洗君は結構好きですよ。なんだかんだでいい奴なんで)

「僕のジョバンニ」3巻(穂積著 フラワーコミックスα)

※ネタバレ注意

これまでの紹介

「僕のジョバンニ」1巻

「僕のジョバンニ」2巻

 

(本日紹介する漫画)

「僕のジョバンニ」3巻(穂積著 フラワーコミックスα)

このブログでやっている本・漫画紹介は、ある意味他人のふんどしで相撲を取るようなもんですね。それは時折思います。

でも、こういう紹介ブログが存在することで今まで知らなかった世界を知ること、そして他の人がどういう感想を持っているか知ることができるので今日も懲りずに書いています。

 

(3巻ネタばれ感想)

やはりこの巻の魅力は、鉄雄と蘇我百合子とのイタリアでの師弟生活でしょう。

蘇我百合子は言動が破天荒で自由人な世界的チェリストとして1巻では描かれていますが、3巻では鉄雄のチェリスト師匠としての実力・魅力を遺憾なく発揮しています。

2巻で「愛がなければ弟子は取れない」と言った蘇我百合子の台詞は伊達ではありません。イタリアに渡っても、学校生活に溶け込めず、何よりチェリストとして郁未の音に苦悩する鉄雄に対し、彼女はをもって接します。

とうとう、日本へ帰る帰らないで揉めた際、蘇我百合子は鉄雄の演奏をCDみたいだと言った理由、イタリアに渡る時は「気まぐれ」だと言った、鉄雄の弟子入りを許した本当の理由、チェリストとして、いやむしろ人間としての生き方を語り、鉄雄を立ち直らせます。

「…確かに現時点でお前は天才じゃないかもしれない」

「そしてお前は お前以外の人間にはなれない」

「けどな」

「お前が お前であることを希望にするか絶望にするかはお前次第だ」

「才能がないと思うなら雌伏の時は受け入れろ」

「焦らず自分を磨いて勝機を待て」

「階段飛ばせないなら一歩一歩着実に登れ」

「そして」

「私に愛を乞う前に」

「まず自分で自分を愛せ」

「……それが私の弟子になる」

「第一条件だ」

 

百合子師匠!!付いていきます!!!

 

これを師匠愛と呼ばずにして、何を師匠愛と呼ぶのか。

立ち直ったものの、まだ学校生活に溶け込めない鉄雄に対し、

「敬遠されるような人間には人は口をつむぐ」

「すべてを凌駕する天才に勝ちたいなら魅力的な人間になりなさい」

「努力し続けられるよう」

「様々なものを吸収できるよう」

「ピンチの時に誰かに助けて貰えるよう」

「どれだけ才能があったってピンチの時は必ず来る」

「そういう時に差しのべられた手を取れる人間であれよってこと」

と諭し、彼を学校生活へもきちんと送り出します。

 

百合子師匠流石です。

 

そして、ようやく軌道に乗った鉄雄に対し、音楽家として必要な諸々を少しずつ少しずつ蘇我百合子は教えていきます。

一流の音楽家の演奏を聴かせたり、情操教育としてアフリカに連れて行ったり。

全ては、将来作曲家になりたい鉄雄のために。

「…私はな鉄雄」

「お前の未来を考えるよ」

「今はまだ郁未の奴との事が重要なんだろう」

「けれどそれはいつか…どういう形であれ解消される日が来る」

「でもそのあともお前人生は続くんだよ」

「見るべきものは山程ある 足りない経験も」

 

そして、日本に帰ってきた鉄雄とその鉄雄を追いかけて(?)帰国した蘇我百合子ですが、コンクールを見て唯一の弟子に「うぬぼれ」が足りないことを心配している様子。

どこまで優しい師匠なんだ!

鉄雄の人生をまるごと受け入れて、どう生きていけば破綻しないのか、人生単位で考えています。本当にあふれるほどの愛がなければ、やってられませんて。

1巻と3巻だと蘇我百合子の印象はガラリと変わります。大袈裟でなく、本当に。

1巻は自由気ままな演奏家として、3巻は鉄雄の師匠として。

同じ人間なのにこうも違う人物像を描き、しかも描写が矛盾していないところは本作の魅力であります。

おまけに鉄雄視点を切り替えていないところが凄い。

よくありがちなAさんにとってはいい人だけどBさんにとっては冷たいといったような、単にその場・相手によってコロコロ態度を変えるカメレオンというわけでは決してなく、一本筋を通しているところもカッコイイ。

そんな百合子師匠の魅力あふれる第3巻。

百合子師匠の愛のムチにぜひ打たれてください。彼女の魅力にやられること間違いなしです。

え、コンクールの結果はどうだったって?

そんな細けぇこたあいいんだよ!じゃなかった、それは3巻を読んでみてください。

あんまり影響なしです。あらゆる意味で予選で終わっちゃうので。

「僕のジョバンニ」2巻(穂積著 フラワーコミックスα)

※ネタバレ注意

昨日の紹介 「僕のジョバンニ」1巻

 

(本日紹介する漫画)

「僕のジョバンニ」2巻(穂積著 フラワーコミックスα)

ストーリー自体のあらすじは、昨日の記事を読んでください。

 

(2巻ネタばれ感想)

2巻といえば、やっぱりこれ。

2ページぶち抜き鉄雄のアップで蘇我百合子に放った台詞、

「だったら今すぐ俺を愛してくれ」

 

怪物的なチェリストとしての郁未の才能を目の当たりにして正気でいられない鉄雄。

そりゃ誰だってそうだろう。まして二人はまだ小学生。

自分と同じようにチェロを理解し、愛してくれる仲間をあんなに欲しがったのに、鉄雄の目の前に現れたのは、自分が焦がれてやまないチェリストしての才能と音を持った人間なんだから、もう郁未の腕を折るか自分の腕を折るしかなくない!?というところまで彼は追い詰められ、とうとう言ってはいけない言葉を郁未に言います。

二人の様子に鉄雄の兄哲郎は、郁未にチェロを手放すように伝えますが、郁未はそれをなかなかハードな理由によって固辞します。哲郎兄ちゃんが、いっそ鉄雄の方がチェロを手放した方がいいと思う位、イッちゃった理由で。

その理由は、2巻を読んで確かめてください。ヤンデレ郁未が誕生する瞬間です。

勿論、鉄雄もチェロを手放すことなどせずに、我々の想像のはるか斜め上をいく、思い切ったに出ます。

何と、魔女と呼び、避けて通っていた蘇我百合子への弟子入り志願。

「愛がなければ弟子は取れない」という蘇我百合子のまっとうなお断りに対して、冒頭で書いた「俺を愛してくれ」の台詞が飛び出ます。

これが功を奏し、鉄雄は晴れて蘇我百合子の弟子となってイタリアへ。

 

で、話はいきなり5年後に飛びます(管理人の感想でなく、本当に一瞬で5年後に話が展開します)。

あの衝撃展開から5年後、鉄雄は再び日本へと戻りすでに就職していた兄哲郎の元へ身を寄せます。そして郁未はなんと空港に出待ちファンがいるほどの若手チェリストへと成長。

日本に戻った途端、鉄雄はコンクール参加を決めて出場します。で、そのコンクール出演前までが2巻の流れになります。

 

新しい登場人物(伴奏者の縁やチェリストの御手洗)も出てきて鉄雄の世界もますます広がっていきますが、しかし、肝心のイタリアでの生活ってどうなってるの!?という読者の疑問は残ったまま、コンクールだけが始まってしまします。

 

ある意味置いてけぼりのまま2巻は終わります。

 

鉄雄のイタリアでの生活や、蘇我百合子との師弟関係についての話は、3巻の後半から終盤にかけて蘇我百合子の口で語られているので、知りたい方はもう3巻まで一気読みした方が良いかもしれません。

 

1巻であんなに仲良くなったのに、2巻では袂をわけてしまった鉄雄と郁未。

舞台を東京に移して、二人のチェリストの運命はどう変わっていくのか。

そしていきなり出場を決めたコンクールの行方は!?

 

既刊5巻なので、早く先を読んだ方が良いない!?と思わせるほどの引きが続く2巻でございます。

 

 

 

 

「僕のジョバンニ」1巻(穂積著 フラワーコミックスα)

※ネタバレ注意

 

(本日紹介する漫画)

「僕のジョバンニ」1巻(穂積著 フラワーコミックスα)

「式の前日」で評判になった漫画家さん。

管理人としては同作者の「さよならソルシエ」1巻が文句なしに面白かったので、2巻で終わってしまったことが未だに悔やまれます。もっと続いて欲しかった。

とはいえ、現時点で穂積先生の一番おススメの作品はこの「僕のジョバンニ」です。

 

(どんなストーリー?) 

家族にも友だちにも恵まれているが、愛するチェロについては本当の意味で誰にも理解されずに一人で弾いている孤独な少年手塚鉄雄。ある日海難事故がきっかけで家にやってきた少年橘郁未と出会ったことで、二人の運命が動き始め…

 

(1巻ネタばれ感想)

1巻では、チェロを弾く少年鉄雄と郁未との出会い、チェロを通して二人の距離が縮まり仲良くなる様子、そして世界的チェリスト蘇我百合子の登場、1巻の最後にとうとう郁未の天才的なチェリストとしての才能が開花し、鉄雄がその様子を目の当たりにする…というところまでが大まかな話の流れです。

 

1巻を読んで全てが分かった気になると、後々ビックリします。

これから大どんでん返しがくるからです。

「こういう展開になるんかい」と驚きますので、そういう意味では1巻の鉄雄と郁未を始めとした人々の様子はしっかり記憶しておいてください。

 

1巻で一番心に残った台詞は、誰にも理解されず独りチェロを弾く鉄雄に対し、郁未が言った言葉。

「天才だって人間だ」

「お前はこの先きっと嫉妬されることもあるだろう」

「理解されないことも」

「誤解されることも」

「人と共有できない気持ちを抱くこともあるかもしれない」

そしてその後、郁未は自分だけは鉄雄を裏切らないし、鉄雄を孤独にしないとまで言います。

鉄雄のように己が心から愛する特技を持った人間でなくとも、嫉妬をされること、理解されないこと、誤解されること、人と分かり合えないことはあり、生きる以上孤独に苛まれることは一度や二度の事ではありません。

だからこそ、郁未の言葉は鉄雄の心に、読者の心に沁みます。

 

しかし、厳然たる事実として人は一人で生まれ一人で死ぬ孤独な存在であり、誰一人として同じ人間が存在しないからこそ、他人との間に嫉妬・誤解・無理解がどうしても生じます。それはこの物語でも例外ではありません。

 

2巻以降、物語がどう急展開を迎え、そしてこの言葉を言った郁未と言われた鉄雄の人生がどう変わってしまうのか。

その意味でも、1巻は要チェックです。

 

「なごみクラブ」(遠藤淑子著 バンブーコミックス)

※ネタバレ注意

 

(本日紹介する漫画)

「なごみクラブ」(遠藤淑子著 バンブーコミックス)

既刊10巻の、オムニバスストーリーシリーズ。

調べたら、1巻は2008年。このシリーズ11年続いています。

 

(どんなシリーズ??)

会員制ホストクラブ「なごみクラブ」の物語ですが、普通のホストクラブを想像すると、「全く違う」と漫画を放り出すこと請け合いです。

イメージとしてはお酒の出るお悩み相談室といったところでしょうか。この類の商売でありがちな色恋沙汰を全く介入させていないし、客もそれを承知の上で仕事の愚痴や悩み相談しに来ているだけです。アフターや同伴も無く、売上ノルマや競争も無いのでホストも客も全くカラッとした態度です。

これでホストクラブとして商売になるの?という疑問はちゃんと本編の中に描かれていて、店は赤字なんですが、オーナーが所有する他の店の利益を回していることで成り立っています。だけどオーナーが作りたいと思った形のホストクラブがこの「なごみクラブ」なんです。

 

(10巻もあるけれど、最初から読まないと?)

1話完結のオムニバスストーリーなので、どの巻から読んでも基本大丈夫です。

ただ、1巻を読んで基本的な登場人物を把握しておけば分かり易いし、コンビニバイトの田中君、ニューハーフバー「フジツボ」の面々などの準レギュラーなど時々話に出てくるので、1巻から読めば、あの人のその後が出てくることがあったりもして、「ああ、そういうことか」ということも楽しめます。

最初は、「なごみクラブ」に来るお客様の話が多かったんですが、今はお客様の話というより、「なごみクラブ」をとりまく人々の話が中心になったような気がします(当社比)。

 

(おススメポイント)

「生きててしんどい」時に読むと胸が軽くなります(当社比)。

テレビで芸能人が「辛い時~」云々言っているのをみて、偏見であることは百も承知で「お前に辛いことがあるんか!?」と思ってしまいました。

全国放送に出られるほどの人気を誇り、見たところ健康そうで容姿端麗でもあるその人の辛い要素が一体何かが正直知りたかったです。

人気・健康・容姿が揃っていてもツライと思う人がいる世の中です。その全てが揃っていない普通の面々が「生きててしんどい」と思うことがあっても普通、いやむしろ常設でしょう。

この「なごみクラブ」に出る人々は、どこかで、何かしらで、ガチに「生きるのがしんどい」と思っています。泣いたり、くじけたり、怖がったり、嫌な思いをしたりしながらも、その現状を「ああ、辛いよね」とため息をつきながら生きています。

その積極的でない人生賛歌こそが、とても現実味を帯びていて、本当に辛い時に読んでいても辛くなりません。

落ち込んだ時に、幸せそうな人々を見ても元気になれません。余計落ち込みます。それよりも同じようにため息を付いている人をみて、ああ、こうやって落ち込んでいてもいいんだと勝手に思えてしまう共感こそが、「なごみクラブ」の一番の魅力です。

辛いなと思った時に、ぜひ「なごみクラブ」へお越しください。

 

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