埋もれ木図書館

おススメの漫画・本・ゲームもろもろの紹介をします。

「夜長姫と耳男」(坂口安吾著)~好きなものは…~

今日は久しぶりに小説の紹介をします。

グロい話が苦手な方はバックオーライでお願いします。

そしてネタバレ注意です。

 

(本日紹介する小説)

「夜長姫と耳男」(坂口安吾著)

あえて出版社を掲載しなかったのは、青空文庫で読めるからです。

ネット環境さえ整っていれば、タダで読めます。

短編小説なので、すぐに読めてしまいます。

ちなみに近藤ようこ先生が岩波現代文庫でこの小説の漫画版を出しています。

今日は原作と漫画版、あわせて紹介します。

 

(どんな話?)

長者の一粒種(しかも年をとってから出来た娘)の夜長姫。飛騨随一の匠の弟子である耳男は、その姫のために弥勒菩薩を作るよう長者から命じられて…

というのがあらすじです。

 

(原作、漫画版の感想)

多くの方は発行時期から考えて、原作→漫画版の順で読むと思いますが、

私はたまたま、漫画版→原作の順で読みました。

どちらにしてもイカれています。夜長姫も、そして耳男も。

話の流れは原作も漫画版もほぼ同じなんですが、

原作は、耳男の夜長姫に対する恋愛要素を強く感じました。

好きな女の子のことで頭がいっぱい。しかしそんな自分を自分で認めようとしない、勉強や部活に必死になって己の感情を誤魔化す中学生男子のような青臭さ満載。

好きだって認めちゃえば楽になるのになぁ。

ただ、この夜長姫が耳男の想像をはるかに凌駕するイカレっぷりと残忍さを秘めた美少女だったため、とうとう終盤で俺ホントこいつ無理、となります。それが最後のあの流れに繋がるのですが、ここは青空文庫でどうなるか見届けてください。検索かけるとすぐに探せます。

さまざまな人が言及していますが、やはり終盤の夜長姫の台詞は秀逸です。

好きなものは咒うか殺すか争うかしなければならないのよ。お前のミロクがダメなのもそのせいだし、お前のバケモノがすばらしいのもそのためなのよ。」

序盤の耳男の青臭さと対照的な、夜長姫の清濁併せ吞む「好き」という思いに対する深さが胸を打ちます。

そして、飛騨随一の匠の弟子である耳男に対し「立派な仕事をして」と言葉をのこす夜長姫。

主人公耳男の視点から見ると、どうみても耳男の独り相撲というか夜長姫に振り回されている感が強い描写になっていますが、実は本当の意味で相手を見続けその本質を理解しているのはむしろ夜長姫の方だったというオチも、よくあるといえばそれまでですが、耳男がある意味報われた形になります。それがいいかどうかは置いておいて。

 

対する漫画版は、原作自体短いということもあって、舞台背景についての描写も多く世界観を理解しやすい形となっています。

ただ、耳男の仕事ぶりもむしろ恋愛云々より自身の芸術家人生をかけた描写になっていたので、漫画版は読んでいて私自身あまり恋愛要素を感じませんでした。最後の夜長姫の台詞も芸術に対する「好き」だと思ったので、原作を読んで「この話、恋愛ものか!」とむしろ驚いたくらいです。

 

万人受けするような話ではないことは確かですし、グロテスクな場面の説明は入れていませんので、読むにはある程度の覚悟は必要になります。

私も読んでいて正直ウッとなりましたが、だからこそ先ほど紹介したラストの夜長姫の台詞が読者の心に燦然と輝くのだろうと私は解釈しています。

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