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「不連続殺人事件」(坂口安吾著)~秋の夜長にミステリー⑦~

※ネタバレ注意

推理では致命的なネタバレ「犯人はヤス」は行いませんので、ご安心ください。

「ミステリと言う勿れ」以来のミステリーです。

前にも書きましたが、推理モノは大して詳しくはないけれど、好きです。

 

(本日紹介する小説)

「不連続殺人事件」(坂口安吾著)

N県の、県内有数の財閥歌川多門邸で起こる不連続の殺人事件を、名探偵・巨勢博士が「心理の足跡」を推理しながら動機を追跡してゆく物語です。

 

(よく分かる?解説)

堕落論」などで有名な坂口安吾先生ですが、ネットで軽く調べたところ自身も探偵小説の愛好家で、初めて書かれた長編推理小説

好きだから書くというのは我々一般人でも共感できますが、書き上げて後世にも残る出来だというところが、さすがの坂口安吾先生であります。

ふつうはまず書けないし、書いたとしても雑誌に掲載されないし、その上後世に残らないです。

雑誌掲載小説で、当時犯人当ての懸賞もかけられていたらしいです。

あまりにも当意即妙な作者の附記がつけられていたので、読んでいた時はこれも含めて一つのネタ(作品)かと思っていたのですが、どうやら本当に懸賞がかけられていたらしいですね。最後に4名、正解者がいたと発表がありました。

ここら辺は、雑誌掲載のライブ感が遺憾なく発揮されています。

雑誌掲載の良さがいきていると個人的に思います。

ちなみに今回も出版社名をいれなかったのは、青空文庫で読めるからです。

青空文庫最強です。

当時雑誌で掲載されていたであろう、図も載っています。

ただ、出版社で発売されていれば掲載されるであろう人物名とその簡単な紹介はどこにもないので、自分で書いて読み進めていくしかありません。

 

(致命的なネタバレなしの感想)

長編小説とありますが、読みやすいのでサクサク読めます。

出てくる登場人物がとにかくみんな下衆いです。どこがどう下衆いのかは、読んでみてください。男性も女性も、あらゆる意味でまあスゴイ。

1947年(昭和22年)に雑誌掲載されただろうから表記が許された、下衆い事情がてんこ盛りです。

戦後まもない時代の物の考え方を知る上では現代史の勉強にもなるかもしれませんが、令和の時代、このような話はまず出版されませんし、女性の方は読んでいて不快になる描写が本当に多いので、そういう意味ではこの小説、人を選びます。

 

とにかく歌川多門邸に集まる人々が下衆いので、正直私自身好感度がかなり低かったです。“殺人事件”と銘打っているだけあって、作中に人がバンバン(本当にたくさん)死ぬんですが、登場人物も読者も大して思い入れもなく話が進んでいきます。登場人物の皆さまは、「こんな茶番やってられるか!俺は(この場を)失礼させてもらう!!」という推理モノお得意の死亡フラグを立てることなく、歌川邸に大人しく滞在し、そして次々殺されていきます。

褒めているのかけなしているのか分からない感想になってしまいましたが、名探偵・巨勢博士の推理や、伏線回収は見事の一言です。

ちなみにこの小説のラストはとても坂口安吾先生らしいと私は思いました。

推理小説というより、坂口安吾先生の美学がいきている結末と思いました。令和の今からみるとよくあるオチじゃんと言われてしまうかもしれませんが、最初の登場人物の下衆さと最後の行動の落差が効いています。

ただ、それによって起こった出来事が大量殺人事件だからどっちにしても人としてダメなんですが…。

 

(附記~不連続殺人事件を解いてみる~)

個人的には、この小説の附記はたいへん面白く読まさせて頂きました。

懸賞は正直ネタだと思ったので、適当に推理しながら読みました。

ネタバレゼロで読んだ結果、この事件の動機は正解しました。

動機が正解だったので、それにまつわることのいくつかは当たらずしも遠からずでしたが、それで推理できたのかといわれると、できていません。

名探偵にはほど遠いです。

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