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「夏の庭-The Friends-」(湯本香樹実著 新潮文庫)

※ネタバレ注意

 

(本日おススメする本)

「夏の庭-The Friends-」(湯本香樹実著 新潮文庫

 

(作品紹介)

仲良しトリオの一人、山下の祖母の葬儀をキッカケに「人の死」の瞬間を見ようと一人の老人を観察することに決めた主人公たち。

一人の老人を「観察」し、そして彼らが交流する中で生まれた「生と死」を取り巻く、ひと夏の物語。

 

(感想)

今の季節に合った、夏らしい物語ということで、選ばせていただきました。

今から16年前に出た物語。

文庫にして200ページちょっとで、文庫としても薄く読みやすいと思います。

そして、読んで泣いてください。

「死」をテーマとした老人と少年たちの物語。

あらすじを読んだ段階で、正直物語のオチは大体想像はつきますし、その期待は裏切りませんが、その過程については管理人の予想を大いに(いい意味で)裏切りました。

この物語は、児童文学にもなりそうな程読みやすい小説なので、小学校高学年でも読めるとは思いますが、管理人としてはどちらかというと「孤独」の意味を知る大人に読んで貰いたい小説です。

表面的には、少年たちが一人の孤独な老人と出会い交流することで、彼らにとって新しい世界が広がるというものですが、実は孤独な老人が少年たちと出会うことで、彼自身自分の人生をもう一度生きなおす「再生」が、その裏に流れているこの物語の本当のテーマではないでしょうか。

物語の視点が少年たちなので、正確な老人の気持ちや視点が描かれることは一切なく、少年たちの目を通してしかうかがい知ることが出来ませんが、ひょんなことから少年たちに「観察」されたことで、老人もまた、新しい世界を知り、少年たち以外の人々とも新しい出会いが生まれます。

読者の大半が予想できる「ラスト」を迎える前に出逢った少年たちが、老人にとって本当の意味で「奇跡」であることは、「孤独」を知らない者が読んでもピンと来ない気がします。

だからこそ、子供よりも大人に読んで貰いたい一冊です。

 

フィクションなので、現実世界にこういう「奇跡」はなかなか起きないかもしれません。

だからこそ、現実よりも現実を描く小説は面白いと管理人は思います。

作者のあとがきにある、この小説を書くきっかけとなった彼女の祖父との物語も泣かせます。

あとがきまでしっかり読んで下さい。

 

この小説に関しては、実は少年たちの後日談が読みたいと激しく思いました。

彼らが老人からたくさんのギフトを貰ったことで、どう成長するかは見てみたかったです。

特に河辺君のその後が気になります。

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