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「さがしもの」(角田光代著 新潮文庫)

※ネタバレ注意

 

(本日紹介する小説)

「さがしもの」(角田光代著 新潮文庫

 

(作品紹介)

「この本が、世界に存在することに」が改題されて出版。

本にまつわる短編小説集(オムニバスではありません)。

 

(感想)

「本の物語」とカバー裏表紙の説明にありますが、読了した管理人がもう一つ付け加えるとするならば、この短編小説集のテーマは、「本と恋」です。

9つの短編小説集に必ずと言って良い程「恋愛要素」が含まれていますし、むしろ「恋愛」がメインで、本が恋愛話を引き立てる小道具になっている短編小説もあるので、「本」を題材にした恋愛小説集だと読んでいただいた方が、内容とイメージとが合致するような気がします。

そういう意味では、管理人ちょっと肩透かしを喰らいました。

もっと、「本」というものに対し、正面からぶつかった物語だと思っていたので。

 

この中で一番管理人がおススメするのは、「不幸の種」でしょうか。

「本の物語」なのに題名にも「本」が全く出てきていないし、「不幸の種」というとどことなく不吉な予感がするタイトルです。

そしてその予感は、物語の前半までは的中したまま物語が進みます。

それが物語の前半が終わるころにはかなりとち狂った展開になって「おおっ!?」となり、中盤からどんでん返しが始まり、終盤からラストにいたってカタルシスを得るという、ジェットコースター展開がたまらなく魅力的です。

内容は恋人を友達に取られたという、恋愛裏切りモノのど真ん中をいく物語ですが、その奥に描かれているのは実は裏切りでも、惚れた腫れたでもなく、「人生においての幸福」とは一体何か、です。

恋愛小説だからといって、その結論が結婚することとか異性のパートナーがいることとか同性の友達がいることとかという「パートナー至上主義」ではなく、

「私の思う不幸ってなんにもないことだな。笑うことも、泣くことも、舞い上がることも、落ちこむこともない、淡々とした毎日のくりかえしのこと。」

とある登場人物は言います。

勿論何もない日々こそ「幸せ」と思う人もいるでしょう。ですが、何かや誰かに頼るのではなく、スーパーマンでも何者でもない自分の中の起きた小さい出来事を愛おしむことこそ「幸せ」とする考えを、自己啓発本でなく恋愛小説で書いちゃうところがイカしています。

 

勿論、小説の中にも折に触れ本についての作者の見解は見られますし、「本」についてあとがきエッセイも書かれていますが、基本恋愛小説集なので、読む際にはそこのところを念頭に入れてお読みください。

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